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世田谷ものづくり企業探訪2: カカオ豆から板チョコまでのこだわりの一貫生産。「CRAFT CHOCOLATE WORKS」のチョコレートづくり

最近では日本でも少しずつ盛り上がりを見せている「クラフトチョコレート」。

世田谷の三宿にも「Bean to Bar(ビーントゥバー)」と呼ばれる、カカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫して製造を行うスタイルのクラフトチョコレート店があります。

三宿の交差点を世田谷公園方面に曲がり、しばらく歩くと三宿中学校の真向かいにある淡いボルドー色の店舗が目に飛び込んできます。

そこにはシンプルな黒のフォントで「CRAFT CHOCOLATE WORKS」の文字が。

そのすぐ隣には「FACTORY」の文字があり、中にはチョコレート職人らしき方がを製造している姿が窓から見えます。

世田谷公園やIID 世田谷ものづくり学校(以降IID)からもほど近い三宿の一角で、手作りのチョコレートを販売しているこの店舗がどうしても気になり、今回はその設立の経緯やオリジナル商品についてうかがうことにしました。

今回お話を伺ったのは代表の竹内さんと、店舗運営責任者の山下さん。

まずは向かって右側の代表の竹内さんに、CRAFT CHOCOLATE WORKSのコンセプトや商品の特徴についてうかがいました。

竹内さん「私たちCRAFT CHOCOLATE WORKSは、クラフトチョコレートを主力商品として製造・販売している店舗です。

特徴としてはBean to Bar(ビーントゥバー)といわれるスタイルで、カカオの焙煎からチョコレートバーになるまでの一貫した製造をこの場所で行っています。チョコレート商品数は季節にもよるのですが、主に12種類のチョコレートをメインとしてご用意しています」

じつはこの取材時は開店前だったのですが、テーブルの上には色とりどりのパッケージに包まれた12種類のチョコレートが綺麗に展示されています。その横ではスタッフさんが試食用のチョコレートを準備中でした。

そしてそれぞれの12種類のチョコレートには「ガーナ」「コロンビア」「ベトナム」などの国名や地域名がついているものも。

竹内さん「当店のチョコレートはほとんどがシングルオリジンと呼ばれる、1つの産地や地域に限定したカカオ豆を使用した12種類のチョコレートを製造しています」

IID石塚「そういったスタイルのチョコレート店って、日本に他にもあるんでしょうか?」

竹内さん「当店がオープンしたのが3年半前の2015年9月5日だったのですが、当時は日本全国で15店舗くらいだったかと思います。最近はクラフトチョコレートの店舗も少しずつ増えていて、小さい店舗も合わせればおそらく日本でも50店舗以上はあると思いますよ」

IID石塚「こういったクラフトチョコレートの店舗を始めようと思ったきっかけを教えてもらえますか?」

竹内さん「実は私は、もとからチョコレートが好きだったわけではないんです。むかしパティシエの仕事をしていたことがあって、その時にチョコレートに触れる機会はあったんですが、普通に美味しいなという程度でした」

IID石塚「ちょっと意外ですね」

竹内さん「その後バリスタの仕事をした時に、他の人がつくったクラフトチョコレートを食べる機会があったんですが、その時に初めてチョコレートが全く新しい食べ物に感じて興味を持ちました。そこである時実際に自分で一からチョコレートを作ってみたら、とても美味しかったんですよね。そこでしっかりと作ったクラフトチョコレートは美味しいんだ、と気づきました」

IID石塚「それがきっかけだったんですね。ちなみになぜこの三宿という場所でお店を始めようと思ったんでしょうか?」

竹内さん「じつは私がもともと三宿出身なんです。中学校も今は廃校になっている池尻中学校(現在の世田谷ものづくり学校)卒でした。以前から生まれ育った地元で商売をできればいいなと思ってました」

IID石塚「とてもいい話ですね!この店舗を始める前はどこか同業のお店で見習いや修行をされたんでしょうか?」

竹内さん「じつはチョコレート作りは独学でした。もちろんそれなりに苦労もありましたが、もともとパティシエとしてチョコレートを扱う技術を学んでいたり、バリスタとしてコーヒー豆の産地の知識を学んでいたことをうまく掛け合わせられたことが、チョコレート作りを独学するベースになったんだと思います」

IID石塚「なるほど。どの経験が何に生きるかわからないものですね。そしてお店を開業して3年半経った今、最初のころと変わってきたことはありますか?」

竹内さん「ある程度想定していたことですが、開店当初は『クラフトチョコレート』というものの認知度が低かったので多少苦戦しました。最近ではメディアなどで取り上げられることも増えるにつれて、少しずつ認知度が上がり始めました。それとともに地域の方にこのお店のことも知っていただけるようになったかと思います」

IID石塚「なにか独自店舗の認知度をあげるような工夫をされたりはしたんでしょうか?」

竹内さん「あるとすれば、パッケージなどの見栄えの部分にこだわったことです。当然チョコレートそのものの味はいちばん大事なことなんですが、当店はふらっと来店される方も多いんです。なので知人のデザイナーに依頼をして、一目みて手にとって見たくなるようなオリジナルのパッケージデザインになるように意識して制作しました」

IID石塚「なるほど。とても洗練されていて、かつ目に飛び込んでくるデザインが多いと思いました」

竹内さん「もっと言えば、主力の12種類のクラフトチョコレートは、ベリーのような味がしたり、りんごのような味だったり多種多様なんですが、それを購入しようとしたお客様がパッケージをみれば味のイメージがわかるようなデザインになっているんです」

IID石塚「それは選ぶ側にとってもかなりありがたいです。そんないろんな味の12種類のチョコレートがあるわけですが、いくつかオススメを紹介していただけますか?」

竹内さん「では『コロンビア』と『ガーナ』を紹介させて下さい。

まずガーナは大手メーカーのチョコレート名にも使われているので一般の方にもカカオの産地として馴染み深い国ですよね。

そんなカカオ生産量が常に世界上位のガーナのカカオの中から、更に選び抜いたカカオを使用して当店が作ったのがこの『ガーナ』というクラフトチョコレートです。

味としては熟した赤りんごのような甘さがあり、シナモンやバニラに近い香りがあります。

ちなみにガーナは安く大量にカカオを生産するせいか未だに児童労働の問題が残っているのですが、当店が選ぶカカオ豆に関しては児童労働が行われていない場所で生産されたクリーンなものをチョイスしています。

いっぽう『コロンビア シエラネバダ』は、カカオの生産地を国だけでなく更に地域で絞ったチョコレート。

材料となるカカオは、『カカオハンター』と呼ばれる女性が片道8時間もかかる奥地に調達にいき、長年かけて現地の方と関係を作った上で仕入れたカカオを持ち帰るのですが、ラバに乗せて運ぶので、一度に100kgくらいしか運べません。そんな苦労を経て生産されるチョコレートです。

味はブラッドオレンジのような爽やかな味で、ラズベリーのような香りが特徴です」

IID石塚「有難うございます。チョコレート一つをとっても壮大なストーリーがあるんですね。俄然クラフトチョコレートに興味が出てきました。では最後に、クラフトチョコレートの楽しみ方を教えてもらえますか?」

竹内さん「色々あると思うのですが、例えばシーンに合わせた楽しみ方もおすすめです。今日は疲れているのでちょっと甘めのものをチョイスしてみるとか。またはスペシャルティコーヒーと合わせるなどもいいかもしれませんね。クラフトチョコレートはコーヒーなどより事前の準備などがいらないので手軽に楽しめる所も魅力です」

IID石塚「色々と貴重なお話を聞かせていただき有難うございました!」

じつはこのあと気づいたのですが、IIDとCRAFT CHOCOLATE WORKSさんのご縁は、代表竹内さんの卒業校という以外にも。

店内の棚に並んでいたこちらの2つのクラフトチョコレートは、じつはIID卒業事業者のカカオ生産者である株式会社ローカルランドスケープ様の沖縄産食材を使用したコラボ商品。IID内で開催されたイベント内での出会いがきっかけだったとか。

そしてこの取材中が終わるころ、ショップに併設されているチョコレートのファクトリー内では、製造担当のスタッフさんが溶けた状態のチョコレートをヘラで混ぜる「テンパリング」と呼ばれる作業中でした。この作業でチョコレートのムラを無くしたり、チョコレートにツヤを出したりする重要な工程だそうです。

この日はそこにたまたま通りかかったた近所子供が、ファクトリーの窓にはりついて作業を興味深そうに眺めているという、なんとも微笑ましい光景も偶然目にしたり。

このように製造の場所と販売される場所が近いことで、消費者である私たちが製造過程や原材料のことに興味が持つ機会が生まれるのはとても素晴らしいことで、小規模ならではの丁寧なものづくりの良さをあらためて実感した取材でした。

この記事を読んでクラフトチョコレートに興味が湧いた方は、三宿の「CRAFT CHOCOLATE WORKS」にぜひ気軽に立ち寄ってみてください。

CRAFT CHOCOLATE WORKS

■ 営業時間:11:00~18:00
■ 月曜定休(祝日営業、翌日休み)
他、臨時休業する場合があります。
■ 店舗所在地
東京都世田谷区池尻2丁目7‐4‐1F